配偶者ビザ申請の事例紹介・ケーススタディ

西川 諒

執筆者

西川 諒

駒田 有司

執筆者

駒田 有司

配偶者ビザ申請の解説・ケーススタディ

各事例を紹介する前に

在留資格「日本人の配偶者等」は、日本人と結婚した外国人が日本国内で夫婦生活を送る際に必要となるビザです。一般的に結婚ビザ配偶者ビザとも呼ばれています。

このページでは、配偶者ビザ申請における懸念事項や注意点を4つのカテゴリーに分類し、有効な解決策や想定される入管側の評価を交えて解説しています。なお、配偶者ビザ申請(呼び寄せ・変更・延長)の横断的な解説や申請の条件を知りたい方は、取扱業務ページから該当する記事をお選びください。

交際状況に関係するもの

  • 20歳程度の年齢差がある
  • 交際期間が短い
  • インターネット上で知り合った

上記の3点について順番に解説していきます。

年齢差がある

ふたりに年齢差があると不利だと聞きました

夫婦間に顕著な年齢差が認められる場合、特に20歳以上の年齢差があると、婚姻の信憑性について厳しく審査されます。あなたたちご夫婦が、というわけではなく、過去に年齢差のある夫婦が偽装結婚で多数摘発されているのがその理由です。

ただし、年齢差があるからといって配偶者ビザを取得できないことはありません。実際の審査において、知り合った経緯などの立証はもちろんのこと、当事者であるご夫婦が年齢差をどのように受け止めているのかを書面で適切に主張できれば、リカバリーは可能です。

現に弊所では30歳差、35歳差のご夫婦でも配偶者ビザを取得されています。

交際期間が短い

知り合ってから半年で結婚しました

出会ってから数ヵ月の交際で結婚に至り、無事に配偶者ビザを取得されたケースはあります。一方で、交際期間の短さから偽装結婚を疑われてしまい、不許可となるご夫婦も相当数存在しています。

年齢差や離婚歴と異なり、交際期間の短さに関しては、期間を延ばすことで状況を変えられます。そのため、弊所ではヒアリングを通して、付き合った期間が審査上のネックになると判断した場合、申請時期をずらすようアドバイスしています。

明確な基準はない

交際期間が1年ないし2年を超えていればOKかというとそうでもなく、デートを重ねた回数や親族への挨拶の有無、扶養者の収入状況など、あらゆる要素を考慮して許可・不許可が決定されます。付き合うまでの友人期間が長いケースであれば、交際期間に関係なく申請してみる価値はあるかもしれません。

インターネット上で知り合った

最初はSNS経由で知り合いました

FacebookなどのSNSやマッチングアプリ、言語交換アプリで知り合った場合は、たいていのケースで遠距離恋愛になってしまうことが想定されます。日本と海外で離れて暮らす中で、どのようにして愛情を育んでいったのか、またどれくらいの頻度で相手の母国を訪れたのかが審査では大変重要になります。

なお、一度も対面したことがない状況からの配偶者ビザ申請は避けるべきです。仕事の都合等もあるかと思いますが、複数回は渡航し、相手方親族へ挨拶などを済ませてからの申請が望ましいといえます。

結婚相談所で知り合ったケースも同様に考えてください。

日本人配偶者に関係するもの

  • 収入・所得が少ない
  • 不倫・浮気から結婚に至った
  • 過去に外国人との離婚歴がある

上記の3点について順番に解説していきます。

収入・所得が少ない

収入がないと不許可になるって本当ですか?

認定申請(呼び寄せ)変更申請のページでも触れていますが、実務上は250~300万円程度の年収が許可・不許可のボーダーラインになると解されます。ただし、あくまでも給与の額は数ある審査項目のひとつに過ぎないので、そこまで気にする必要はありません。

一方で、月収は普通に受け取っているが、転職活動海外駐在の期間があったため、トータルの年収でみれば低額だと評価される方もいます。そのような場合は、直近の給与明細などを添付し、別途補足説明書を作成することで対応できます。

不倫・浮気から結婚に至った

既婚者の頃から付き合っていました

配偶者ビザ申請においては、日本人配偶者の戸籍謄本の提出が必ず求められるため、前回の離婚成立日や子ども及び認知の有無に至るまで審査されます。また、入管局所定の「質問書」と呼ばれる書類にも同様の記載項目があるため、交際歴を隠すことはできません。

相手に好意を持った以上は仕方ありません。正確な時系列を書面上にまとめ、なぜ不倫や浮気のかたちで交際が始まったのかを、合理的かつ納得できるような理由を添えて伝えていくことがポイントになります。

質問書には外国人配偶者の婚姻歴についても記入が必要です。

過去に外国人との離婚歴がある

国際結婚は今回が2回目です

日本人配偶者(あなた)側に外国人との離婚歴がある場合は、初婚の方に比べて慎重に審査されます。特に前婚の婚姻期間が短い方においては、偽装結婚の可能性も含めた審査がなされることを意識するべきです。

あなたたちご夫婦が真剣な交際を経て結婚に至ったとしても、写真や通話履歴を提出するなどして、きちんと証拠を示しながら説明することが配偶者ビザ申請では求められます。もちろん、外国人配偶者に日本人との離婚歴がある場合も、同様の注意が必要になります。

外国人配偶者に関係するもの

  • コミュニケーション・言葉の壁
  • 飲食店(パブ等含む)で勤務していた
  • 技能実習生として来日していた
  • 留学生として来日している

上記の4点について順番に解説していきます。

コミュニケーション・言葉の壁

夫婦の語学力は審査に影響しますか?

実務上は、ご夫婦がお互いに意思疎通できる程度の語学力が求められます。日本語以外の言語(英語や中国語など)で不自由なくコミュニケーションがとれていたとしても、日本語の習得に対する意欲があればプラスに評価され得ます。

なお、外国人配偶者が日本語を学習するにあたって、日本語学校への通学は必須ではありません。市販の参考書やスマホの学習アプリ、YouTubeの語学講座などで、継続して日本語を学んでいる期間があれば、それだけで審査は有利に働きます。

日本人側のアピールも大切

日本人配偶者(あなた)側の配慮もポイントになります。普段の会話の中でなるべく簡単な単語を用いたり、時には翻訳アプリなどを利用したり、そういった事実があれば積極的にアピールするべきです。

飲食店(パブ等含む)で勤務していた

最初はお客と従業員の関係でした

出入国在留管理局から婚姻の真実性を疑われる典型的な事例といえます。配偶者ビザは就労ビザと異なり職業の制限がないため、ホステスとして働くために偽装結婚をする方があとを絶ちません。

また、海外のパブ・ナイトクラブに勤務していたケースだけでなく、興行ビザでタレントとして来日していた方との結婚についても厳しく審査されます。いずれにせよ、外国人配偶者が結婚後も同様の職業(ナイトワーク系)に従事する場合は、審査上かなり不利益に扱われます。

技能実習生として来日していた

私の職場へ配偶者が入社してきました

まず、技能実習(研修生)の仕組みを理解しておきましょう。技能実習制度(技能実習ビザ)とは、日本で培った技能や技術を母国へ持ち帰り、それをもって母国の経済発展に貢献することを目的に設けられました。

つまり、技能実習ビザは普通の就労ビザと異なり、実習が終われば「本国へ帰国すること」が前提です。そのため、お相手の実習終了後すぐに配偶者ビザを申請するのは、本来適切ではないと解されます。配偶者の帰国後、3~6ヵ月程度のインターバルを置いてから、申請に臨むのが望ましいでしょう。

妊娠などの事情があれば、例外的に早期申請を行う場合もあります。

承諾を得ているケースは例外

なお、結婚や退職、ビザの変更に関して、協同組合及び勤務先から承諾を得ている場合は、外国人配偶者の帰国を待たずに、技能実習ビザから配偶者ビザへの変更を実施するケースもまれにあります。

留学生として来日している

外国人留学生と結婚しました

留学ビザから配偶者ビザへの変更に関しては、留学生側がきちんと法令や学内のルールを守り日本に滞在していれば比較的スムーズに審査が進みます。しかし、下記の項目に該当するような場合は、厳格な審査へ切り替わる点に注意が必要です。

  • 授業の出席率が著しく低い
  • 週28時間を超えてアルバイトをしている(資格外活動違反)
  • 既に退学している

学業に対するモチベーションが下がってしまうのは仕方ありません。しかし、悔やんでも出席率やアルバイトの超過分を取り戻すことはできないので、正直に経緯を説明し、反省文などの書面を添えて申請するパターンが一般的な対応策になります。

その他手続き等に関係するもの

  • 結婚式・披露宴を挙行していない
  • お互いの親族に挨拶していない

最後に、上記の2点を順番に解説していきます。

結婚式・披露宴を挙行していない

結婚披露宴の予定はありません

結婚式や披露宴を挙行しているかどうかは、少なからず審査に影響します。費用との兼ね合いもありますが、ささやかでも何かしらのかたちで披露宴を挙行し、それを写真などに収めておけばプラスに評価され得ます。フォトウェディングの写真を提出するだけでも、審査官へ結婚の真実性をアピールできます。

なお、配偶者ビザの取得後に挙行予定があれば、その旨を申請書類に記載するのが望ましいです。当然、結婚披露宴をする・しないは個人の自由に委ねられるべきなので、強制されるものではありません。

お互いの親族に挨拶していない

親族は今回の結婚を知りません

披露宴のときと同様、あくまでも結婚はふたりの意思決定に基づくものなので、双方の親族へ挨拶しなければならないといった決まりはありません。しかし、一般的には入籍前後に顔合わせを行う夫婦が多く、また実務上もそういった案件がスタンダードなのは知っておいてください。

入管局所定の「質問書」にも、親族への周知状況に関する項目があります。顔合わせが叶わなかったとしても、消息不明や不仲などの理由がない限りは、お互いの親族へ結婚を報告するよう推奨します。

おわりに

入管局は申請者の味方ではありませんが、私たちにとっては大切なクライアントです。もし、弊所にご相談をご検討であれば、ありのままの事実をお聞かせください。たとえ、それが審査で不利になるような事柄であっても、申請前であればある程度の対応は可能です。

まずはいろんな事務所と比べてみてください。そう何度も経験することのないビザ申請です。私たちは、あなたの良き理解者・パートナーとして尽力することをお約束します。

取扱業務の一覧に戻る

PERSON IN CHARGE

担当者の紹介

西川 諒

執筆者
西川 諒
Ryo Nishikawa
大阪府行政書士会

プロフィールTwitter

駒田 有司

執筆者
駒田 有司
Yuji Komada
大阪府行政書士会
プロフィールTwitter

Please Contact Us!

サポートをご検討される方へ
無料相談

スマホパソコンから
サクッと相談できます。