配偶者ビザ申請のアウトライン(他のビザからの変更)
日本人の配偶者等ビザとは
日本人の配偶者等ビザは、日本人と結婚した外国人が日本国内で夫婦生活を送る際に必要となるビザです。一般的に結婚ビザや配偶者ビザとも呼ばれています。
- 婚姻手続きが完了したので引き続き日本で暮らしたい
- 留学生との結婚に伴いビザの変更を検討している
- 短期滞在ビザで招待してそのまま結婚、同居したい
配偶者ビザ申請は3つの種類に分かれています。上記のように、結婚手続きが完了し出入国在留管理局へ申請を行う時点で、外国人配偶者が日本にいる(何らかのビザを保有し日本に滞在している)場合は、在留資格変更許可申請というカテゴリーで申請します。
なお、結婚手続きが完了してもすぐに配偶者ビザへの変更・切り替えが認められるわけではなく、通常は申請してから2週間~1ヵ月の審査期間が設けられ、また審査自体も近年増加傾向にある偽装結婚等を勘案し厳格な調査が実施されます。
配偶者ビザ申請のメリット
はじめに、配偶者ビザを取得するメリットを3つ紹介します。
合法的に日本で暮らせる
結婚ビザ(配偶者ビザ)の根拠となる出入国管理及び難民認定法には「日本人の配偶者もしくは特別養子、または日本人の子として出生した者」が日本人の配偶者等ビザに該当すると定められています。
つまり、日本人の妻・夫の身分を有する外国人であれば、誰でも配偶者ビザへの変更を申請できます。国籍や宗教は一切問われません。「この先も夫婦として生活したい」という意思が認められれば、すべての外国人がビザを取得でき、合法的な在留が可能になります。
就労の制限がない
配偶者ビザを取得した外国人は、就労活動の範囲に関して制限がなくなります。言い換えると、日本国籍者と同じように、自由に仕事を探し勤務することができます。
- 週3日程度のシフトでゆるく働きたい
- 家計を支えるためフルタイムで勤務したい
- スキルやキャリアを活かして正社員を目指す
上記のように、外国人配偶者の希望やご家庭の事情に応じて勤務時間や職種を選択できます。
加えて、配偶者ビザを取得するにあたって「外国人配偶者が日本人配偶者の扶養に入らなければならない」といった決まりもありません。日本人配偶者が専業主婦・主夫として家庭を維持し、外国人配偶者が働きに出て収入を得るなど、多種多様なライフスタイルが認められます。
永住申請の要件が緩和される
通常、就労ビザなどで在留している外国人は、10年以上日本で暮らし、かつ5年以上安定した収入が継続していなければ永住権(永住ビザ)を申請できません。一方で、配偶者ビザを保有している外国人に対しては、この要件が緩和されています。
- 実体を伴った婚姻生活が3年以上継続している
- 引き続き1年以上日本国内に在留している
- 3年もしくは5年の在留期間をもって在留している
これら3つを満たしていれば、永住ビザの申請が可能になります。また、永住ビザだけでなく、帰化申請(日本国籍の取得)においても要件は緩和されます。
配偶者ビザ申請の注意点
この章では、申請上の留意事項を4点紹介しています。
内縁の配偶者は含まれない
配偶者ビザ申請における「配偶者」とは、現に婚姻関係中の者をいい、法的に有効な婚姻状態であることが求められます。そのため、婚姻手続きを行っていない事実婚状態の妻・夫は配偶者ビザを申請できません。
なお「法的に有効な婚姻状態」とは、婚姻の事実が記載されている戸籍謄本と、海外側の大使館・領事館や、現地の役所が発行した結婚証明書(Marriage Certificate)の両方が揃っている状態を意味します。
結婚証明書が取得できない場合
日本側で先に婚姻手続きを済ませた場合、一部の国の駐日大使館・領事館では結婚証明書(Marriage Certificate)が発行されません。その場合は原則、日本側の戸籍謄本だけで変更申請を行います。
同居が前提となる
法的に有効な婚姻状態であっても、夫婦としての実体を伴っていない場合、配偶者ビザは許可されません。いわゆる「偽装結婚」と呼ばれるものに該当してしまいます。
出入国在留管理局は、偽装結婚やビザの不正取得に関して年々厳しく取り締まっています。あらぬ疑いをかけられないためにも、お互いが真剣かつ誠実な意思をもって共同生活を営むこと、つまり同居を継続させることが許可を得るための第一歩といえます。
婚姻生活の安定性・継続性
配偶者ビザ申請の許可・不許可を決定づける審査項目は、下記ふたつに大別されます。
- おふたりの結婚の真実性
- 夫婦生活の安定性
こういった非常にプライベートな項目が、いわば第三者ともいえる担当官によって審査され、また当該審査が原則書面上のみで行われる点に留意する必要があります。申請者の状況や個々の内容にもよりますが、電話調査や面接はほとんど実施されません。
結婚の真実性について
最初の「結婚の真実性」に関しては、知り合ったきっかけから交際、婚姻に至るまでの経緯を、申請書類として詳細に記述し信憑性を高めていきます。その上、ほとんどのケースで、交際の過程を裏付ける疎明資料(メッセージアプリの履歴や写真)を併せて添付します。
家族の介護をしてもらいたいから結婚した
上記のような理由だけでは、夫婦としての実体・真実性がないと判断され不許可になることが予想されます。
夫婦生活の安定性について
2番目の「夫婦生活の安定性」とは、平たくいうと扶養者の経済基盤を指します。継続的な婚姻生活を営める程度の収入があるかどうかに関しては、一般的に市/区役所から発行される課税所得証明書(自営業者は確定申告書など)をもとに審査されます。
扶養者の年収の目安は実務上、250万円程度が許可・不許可のボーダーと解されますが、それ未満の年収額であっても許可を得られる可能性は十分にあります。
収入額は審査の一要素
結局のところ、配偶者の資力や収入はビザの許可・不許可を決定する上での一要素に過ぎません。年収がいくら高額でも、結婚の真実性がないと判断されれば不許可になります。身分関係の本質に照らし合わせながら、総合的な審査がなされると考えてください。
短期滞在ビザからの変更申請
短期滞在ビザで招待し、結婚手続きを済ませて直接配偶者ビザに変更したい
このような相談もよくお受けしますが、現行の法律上、短期滞在ビザから他のビザへの変更は原則認められていません(出入国管理及び難民認定法第20条3項)。
しかし、同条文のただし書には「やむを得ない特別な事情」に基づくものであれば許可され得るとの記載があります。実務上、婚姻によって生じた身分関係の変更は「やむを得ない特別な事情」に相当すると判断されるので、短期滞在ビザから配偶者ビザへの変更申請は原則受け付けてもらえます。
以上を踏まえて、短期ビザから配偶者ビザへの変更・切り換えはあくまでも例外的な申請である点、また状況によっては窓口で認定証明書交付申請での手続きを案内される可能性がある点に注意が必要です。
ケーススタディ
裁判所が示した過去の判決上、配偶者ビザの審査において、法務大臣等に裁量の余地はないとされています。すなわち、すべては事実に基づいてのみ審査されることを意味し、証拠をいかに申請書類の中に積み上げていくかが許可・不許可の最大のポイントになります。
そこで、私たちは申請時に特に注意したいケースを4つに類型化しました。以下に列挙している項目の解説は、事例紹介のページからご覧になれます。
夫婦生活に関係するもの
- 20歳程度の年齢差がある
- 交際期間が短い
- ネット上で知り合った(SNSやマッチングアプリを含む)
日本人配偶者に関係するもの
- 収入・所得が少ない
- 不倫・浮気から結婚に至った
- コミュニケーション・言葉の壁
外国人配偶者に関係するもの
- 興行ビザで来日していた(パブ等を含む)
- 技能実習生として来日していた
- 留学生として来日している
その他手続き等に関係するもの
- 結婚式・披露宴を挙行していない
- お互いの親族に挨拶していない
配偶者ビザ申請の必要書類
繰り返しますが、配偶者ビザ申請には原則として面接がなく、提出した書類のみで審査が進んでいきます。また、提出する書類の組み合わせも個々の案件によって様々です。実際の申請では、ご夫婦の状況に応じた修正・リファレンスが求められます。
海外側で準備する書類 | 申請理由書 | 確定申告書の写し |
証明写真(4cm×3cm) | 質問書 | 預金残高証明書 |
結婚証明書(Marriage Certificate) | 住民票 | 預金通帳の写し |
Marriage Certificateの日本語訳文 | 身元保証書 | 夫婦が写った写真 |
パスポート・在留カードの写し | 課税所得証明書 | メッセージ履歴(LINEなど) |
日本側で準備する書類 | 給与明細書の写し | 通話履歴 |
戸籍謄本 | 納税証明書 | 嘆願書 |
在留資格変更許可申請書 | 在職証明書 | 源泉徴収票 |
上記で紹介している資料は一例ですが、通常はこれらの中から書類間の整合性を考慮し、依頼者様に一番相応しい組み合わせを検討・選択していきます。
またご覧の通り、提出書類の大部分が日本側で用意するもので占められているため、私たちの作成する「申請理由書」や「質問書」、別途「補足説明書」などが審査の結果に直接影響します。申請書類の枚数は個々の事例にもよりますが、約40~60枚が平均となります。
当事務所のサポート内容
最後に、弊所のサービス内容についてご説明します。
申請に必要な資料をすべてご案内
おふたりの交際歴や身元保証人(あなた)の収入状況、最新の許可データなどをもとにオーダーメイドで必要資料をご提案します。依頼者様に行っていただくことは、下記の3点のみでかんたんに手続きができます。
- 弊所作成のリストをもとに役所・金融機関等で資料の取得
- Webヒアリングシートの入力
- 完成書類を管轄の出入国在留管理局へ提出
また私たちは来所不要で業務が完了する仕組みを整えておりますので、仕事終わりや休日に弊所まで足を運ぶ必要もございません。全国対応はもちろん、海外に駐在されている方からのご依頼もお受けできます。
受け取った書類の精査・チェック
当事務所が作成する書類以外にも、依頼者様側で準備された資料が審査ではポイントとなります。そのため、私たちは受け取った書類をそのままにせず、精査を通して個々の事例に即した確認作業を行います。
**の書類が**なので、事前に**の書類も追加で用意してください
依頼者様でも気付かないような箇所や、書類間で生じる小さな矛盾にも対応でき、入管局から追加資料提出通知を受ける頻度も激減します。
申請書類をすべて作成
申請に必要な書類をまとめて作成します。事務所内で完結するため、整合性のとれた高品質な書類が納品されます。なお、作成期間は執務状況にもよりますが約10日間をいただいております(準備いただいた資料に問題等なく、作成が可能となった日から10日間)。
申請理由書(別紙)
補足説明書(各種)
その他書類(適宜)
私たちは基本的な申請書類に加えて、これら弊所独自の書式も豊富に取り揃えており、依頼者様ひとりひとりに適した資料を作成・添付いたします。追加費用は一切いただいておりません。
追加資料提出通知の対応
仮に追加資料の提出通知(資料提出通知書)を受け取った場合、速やかに担当者へご連絡ください。類似案件の所内調査ののち、私たちが追加書類一式の作成や審査官との交渉を行います。依頼者様は書類を入管局へ郵送するだけで手続きが完了します。
資料提出通知書
追加の補足説明書
追加の状況説明書
追加書類の提出期限は、2週間程度の期間を設定されるケースが多く、迅速な対応が求められます。通知の内容によっては依頼者様への再度ヒアリングや、別途補足資料の準備をご案内しますのでご安心ください。
面接時のアドバイス
万が一の面接もご安心ください。出入国在留管理局から面接の連絡があったとご報告をいただければ、担当者より改めて依頼者様へ想定される質問事項や対応策をお伝えします。
よくあるご質問
民法上、日本は同性婚を認めておりません。そのため、仮に海外側で同性婚が成立していたとしても、法的に有効な婚姻とみなされず、配偶者ビザは付与されないのが現状です。
原則、ご夫婦が申請書類を持って、一緒にお近くの出入国在留管理局もしくは出張所へ出向き申請することになります。なお、追加オプションをご利用いただければ、私たちが申請手続きも代行いたします。
標準処理期間として2週間から1ヵ月間と公表されています。なお、それよりも短い期間で結果を通知されるケースもあれば、1ヵ月を超えて審査が継続するケースもございます。
許可になるとハガキの通知書が郵送されます。その後、同ハガキに記載されている資料(パスポートや申請受付票、収入印紙など)を持参し、指定された期日までに出入国在留管理局へ出向き、在留カードを受け取ります。在留カードの受領によって、奥様・旦那様へ正式にビザが付与されることになります。なお、許可後の手続きに関しても、追加費用なしで弊所に質問等できるのでご安心ください。
書面審査以外に、日本人配偶者の在職状況・勤務状況や、自宅の光熱費の使用量、携帯電話の契約状況などについて実態調査が行われるケースもまれにございます。もし、申請中にトラブルや不測の事態が発生した際は、弊所までご連絡ください。
参考法令・裁判例など
法の適用に関する通則法第24条,民法第733条・第743条,東京地裁平成23.9.8判決,東京地裁平成25.9.11判決,最高裁平成14.10.17判決,大正15.11.26民事第8355号民事局長回答
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