連れ子を呼ぶビザ(定住者ビザ)の概要とアウトライン
連れ子定住ビザとは
在留資格「定住者」は、特別な理由を考慮して居住を認めるべき外国人のために設けられたビザです。その中でも、妻・夫の前配偶者とのお子様(連れ子さん)に関係するものを、一般的に連れ子ビザといいます。
つまり、現在の配偶者または婚約者の連れ子さんを日本へ呼び、一緒に生活していくためには定住者ビザを取得することになります。なお、連れ子さんのビザを取得するにあたって、養子縁組は必要ありません。
連れ子定住ビザは、要件に該当していれば誰でも取得できるわけではなく、後述する親子間の扶養実績や、ご夫婦の婚姻状況、世帯年収なども含めて厳格に審査されます。実際の申請では、合理的かつ論理的な書類作成が求められます。
告示定住と告示外定住の違い
まず、定住者ビザには大きく分けて、告示定住と告示外定住のふたつがあります。告示定住とは文字通り、法務省があらかじめ公表(告示)している定住者ビザの類型を意味し、告示外定住は法務省が前もって公表してはいないが、定住者ビザに該当する類型を指します。
とりわけ重要なのが、告示定住は在留資格認定証明書交付申請、すなわち「海外からの呼び寄せ」が認められるのに対し、告示外定住は直接日本へ呼び寄せることができません(入管法7条1項2号)。この場合は他のビザで来日したのち、ビザの切り換え(在留資格変更許可申請)を行う流れになります。
そして、連れ子定住ビザは告示定住(定住者告示6号ニ)に該当するため、連れ子さんが暮らしている母国から直接、日本へ呼び寄せることが可能です。予備知識として知っておいてください。
連れ子定住ビザ取得の条件
この章では、在留資格「定住者」の取得条件を3点紹介しています。
配偶者ビザを保有している
妻・夫の前配偶者との子どもを日本へ呼ぶには、まず当該妻・夫が「日本人の配偶者等ビザ」を保有していることが条件になります。多くのケースでは、以下のような流れで連れ子さんのビザを申請するため、内縁関係にあるご夫婦は原則、ビザが取得できません。まずは婚姻手続きを完了させる必要があります。
なお、現在婚約者との結婚手続きを進めている方に関しては、婚姻手続きが完了次第、また海外駐在を終え家族とともに日本での移住を検討している方は駐在が終了次第、日本人の配偶者等ビザと、連れ子さんの定住者ビザを同時に申請することも可能です(在留資格認定証明書交付申請)。
あなたが永住者の場合
本体配偶者(この記事を読んでいる方)が日本国籍ではなく、永住者または特別永住者の場合は、妻・夫が「永住者の配偶者等ビザ」を保有していることが条件になります。
未成年かつ未婚の実子である
ここでいう未成年とは、日本民法上の未成年を意味し、18歳未満の連れ子さんが該当します。つまりお子様が18歳以上の場合、連れ子定住ビザは取得できません。また、未成年かつ未婚であれば誰でも来日できるわけではなく、連れ子さんの年齢が高くなればなるほど不許可になる可能性も高くなります。
なぜなら、夫婦は養育の必要性があるからこそ連れ子を日本へ呼ぶのであって、日本で仕事をするため、また家計を助けてもらうためだけに呼び寄せることは認めないという立場を出入国在留管理局はとっているからです。仕事が目的なら別途就労ビザを取得してほしい、というのが入管側の言い分です。
本国の成人年齢も影響し得る
加えて、本国法(母国の法律)でも成人を迎えつつある連れ子さんに関しては、既に生活能力が備わっている、すなわち仕事をこなし自立した生活を送るのではないかと判断される傾向にあるため、より厳格な審査が予想されます。
そのため、これまでの養育に関する経緯説明や、日本で父母と生活しなければならない理由、今後のライフプラン(インターナショナル・スクールへ入学させるなど)を詳細に記述した書面の準備が、連れ子定住ビザを取得するには必須といえます。
出生証明書の準備は必須
実子という要件から、あなたの配偶者と連れ子さんとの血縁関係も当然求められます。具体的には、出生証明書(Birth Certificate)や出生医学証明書などを申請時に添付し、実の親子関係を立証することになります。繰り返しますが、連れ子定住ビザの取得において、あなたとの養子縁組は必須ではありません。
ちなみに、あなたが養子縁組を行い、かつ連れ子さんが特別養子に該当する場合は、定住者ビザではなく、日本人の配偶者等ビザで検討・申請する流れになります。
ご夫婦の扶養を受けて生活する
前項で説明したように、連れ子さんが日本で就労するためだけの理由では、定住者ビザは原則付与されません。そのため、連れ子さんはご夫婦の扶養を受けることが前提になり、審査においても日本側の世帯収入や経済状況の説明が必要になります。その上、実務上は連れ子さんとご夫婦の同居も前提です。
加えて、あなたの配偶者と連れ子さんの本国での(来日する前の)扶養状況や、あなたの妻・夫が配偶者ビザで来日してから数年が経過している場合においては、なぜこのタイミングで呼び寄せるに至ったのかに関しても合理的な説明が求められます。
就労活動についての補足
連れ子さんには一切の就労活動が認められない、という意味ではありません。無事にビザを取得し、来日したあとは、学業の傍らアルバイトなども自由に行えます。あくまでも、日本での就労をメインにビザを取得することはできないという認識を持ってください。
連れ子定住ビザの申請時期
配偶者ビザを取得予定ですが、連れ子定住ビザの申請時期はいつ頃がベスト?
弊所でヒアリング等を行った際、このようなご相談をたびたびお受けしますが、一般的には下記のどちらかから申請時期を選ぶことになります。
- 先に配偶者を日本へ呼び、生活が安定してから連れ子さんのビザを取得する
- 子の養育環境を考慮して、配偶者ビザと連れ子定住ビザを同時に申請する
割合でいうと前者の方法での申請が多い傾向にありますが、両者ともに審査上の有利不利はありません。どちらの申請に寄せるかよりも、まずはご夫婦の生活設計に基づいた方法を検討するべきです。
先に配偶者ビザを取得
仮にあなたの妻・夫となる外国人が、現時点で日本語のコミュニケーションに苦手意識を持っており、かつ日本独特の風習やルールに慣れていないのであれば、前者を候補に入れたほうがよいでしょう。
新しい環境や生活の中では、日本語が飛び交うスーパーで買い物をしたり、少し電車に乗って外出したりするだけでも、想像以上の負担になるかもしれません。ご夫婦の心理的負荷や連れ子さんの年齢を考えて、無理のない来日計画を立ててください。
同時に定住者ビザを取得
一方で、過去に留学生や技能実習生として来日経験がある場合や、海外駐在時から何年も一緒に生活しているご家族であれば、配偶者ビザと一緒に連れ子定住ビザを取得するほうがメリットは多いかもしれません。
いずれにしても、合理的な理由が認められれば、申請時期に関係なく連れ子定住ビザ(在留資格)は許可され得ます。なお、連れ子さんが日本語学校や大学への進学を希望している場合は、別途「留学」ビザでの来日も候補に入れて検討します。
定住者ビザ申請の必要書類
連れ子定住ビザの申請には原則として面接がなく、提出した書類のみで審査が進んでいきます。また、提出する書類の組み合わせも個々の案件によって様々です。実際の申請では、ご家族の状況に応じた修正・リファレンスが求められます。
海外側で準備する書類 | 申請理由書 | 確定申告書の写し |
証明写真(4cm×3cm) | 住民票 | 預金残高証明書 |
出生証明書(Birth Certificate)&日本語訳 | 身元保証書 | 預金通帳の写し |
認知に係る証明書 | 採用内定通知書 | ご家族が写った写真 |
パスポートの写し | 課税所得証明書 | メッセージ履歴(LINEなど) |
日本側で準備する書類 | 給与明細書の写し | 通話履歴 |
戸籍謄本 | 納税証明書 | 嘆願書・反省文 |
在留資格認定証明書交付申請書 | 在職証明書 | 源泉徴収票 |
上記で紹介している資料は一例ですが、通常はこれらの中から書類間の整合性を考慮し、依頼者様に一番相応しい組み合わせを検討・選択していきます。
またご覧の通り、提出書類の大部分が日本側で用意するもので占められているため、私たちの作成する「申請理由書」や、別途「補足説明書」などが審査の結果に直接影響します。申請書類の枚数は個々の事例にもよりますが、約30~50枚が平均となります。
当事務所のサポート内容
最後に、弊所のサービス内容についてご説明します。
申請に必要な資料をすべてご案内
ご夫婦の婚姻状況や身元保証人(あなた)の収入・資力、最新の許可データなどをもとにオーダーメイドで必要資料をご提案します。依頼者様に行っていただくことは、下記の3点のみでかんたんに手続きができます。
- 弊所作成のリストをもとに役所・金融機関等で資料の取得
- Webヒアリングシートの入力
- 完成書類を管轄の出入国在留管理局へ提出
また私たちは来所不要で業務が完了する仕組みを整えておりますので、仕事終わりや休日に弊所まで足を運ぶ必要もございません。全国対応はもちろん、海外に駐在されている方からのご依頼もお受けできます。
受け取った書類の精査・チェック
当事務所が作成する書類以外にも、依頼者様側で準備された資料が審査ではポイントとなります。そのため、私たちは受け取った書類をそのままにせず、精査を通して個々の事例に即した確認作業を行います。
**の書類が**なので、事前に**の書類も追加で用意してください
依頼者様でも気付かないような箇所や、書類間で生じる小さな矛盾にも対応でき、入管局から追加資料提出通知を受ける頻度も激減します。
申請書類をすべて作成
申請に必要な書類をまとめて作成します。事務所内で完結するため、整合性のとれた高品質な書類が納品されます。なお、作成期間は執務状況にもよりますが約10日間をいただいております(準備いただいた資料に問題等なく、作成が可能となった日から10日間)。
申請理由書(別紙)
補足説明書(各種)
その他書類(適宜)
私たちは基本的な申請書類に加えて、これら弊所独自の書式も豊富に取り揃えており、依頼者様ひとりひとりに適した資料を作成・添付いたします。追加費用は一切いただいておりません。
追加資料提出通知の対応
仮に追加資料の提出通知(資料提出通知書)を受け取った場合、速やかに担当者へご連絡ください。類似案件の所内調査ののち、私たちが追加書類一式の作成や審査官との交渉を行います。依頼者様は書類を入管局へ郵送するだけで手続きが完了します。
資料提出通知書
追加の補足説明書
追加の状況説明書
追加書類の提出期限は、2週間程度の期間を設定されるケースが多く、迅速な対応が求められます。通知の内容によっては依頼者様への再度ヒアリングや、別途補足資料の準備をご案内しますのでご安心ください。
査証申請書(Application Form)の記入補助
弊所では、出入国在留管理局への申請のほか、海外現地の大使館・総領事館に対して提出する入国査証申請書(Application Form)の記入補助・アドバイスも行っています。本来はお子様の法定代理人等が記入する書類ですが、私たちは申請者がスムーズに入国できるよう、最後までサポートします。
査証申請書の見本・1枚目
査証申請書の見本・2枚目
面接時のアドバイス
万が一の面接もご安心ください。出入国在留管理局から面接の連絡があったとご報告をいただければ、担当者より改めて依頼者様へ想定される質問事項や対応策をお伝えします。
よくあるご質問
連れ子さんが日本入国後に成人を迎えた場合であっても、当該連れ子さんの在留状況等を考慮した上で、ビザ(在留資格)の延長・更新は認められ得ます。
原則、日本側の扶養者(あなた)と配偶者が申請書類を持って、一緒にお近くの出入国在留管理局もしくは出張所へ出向き申請することになります。なお、追加オプションをご利用いただければ、私たちが申請手続きも代行いたします。そのほか、海外駐在等でご夫婦が日本に住民票を置いていない場合は、扶養者(あなた)のご親族が代わりに申請書類を提出するのが一般的です。
標準処理期間として1ヵ月から3ヵ月間と公表されています。なお、それよりも短い期間で結果を通知されるケースもあれば、3ヵ月を超えて審査が継続するケースもございます。
許可になると「在留資格認定証明書」が発行されます。その後、同証明書を連れ子さんのもとへ郵送または持参し、現地の日本大使館・領事館で入国査証の発給を受けます。査証発給の手続きが完了次第、お子様は日本への入国が可能になります。なお、許可後の手続きに関しては、個別にご案内資料を送付していますのでご安心ください。
在留資格認定証明書が発行されてから、3ヵ月以内に日本の空港で上陸審査を受ける必要があります。3ヵ月を経過してしまうと、原則再発行は認められず、再申請となりますのでご注意ください。もし、トラブルや不測の事態が発生した際は、弊所までご連絡ください。
参考法令・裁判例など
法の適用に関する通則法第31条・第34条,出入国管理及び難民認定法第7条の2,東京地裁平成27.1.28判決,東京地裁平成14.2.19判決,東京高裁平成25.4.10判決
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