2019年度の不許可事例に関するご報告

2020年1月5日

2019年中に承った在留資格(ビザ)関連のご依頼の中から、不許可・不発給となった事例について下記の通りご報告いたします。

主な不許可事例:短期滞在ビザ

主な不許可事例:短期滞在ビザ

その1
フィリピン国籍者:再申請事例

当事例は、過去に依頼者様がご自身で書面を準備し、不許可になっています。既に前回の不許可から半年間が経過していたため(6ヵ月の制限期間が過ぎていたため)、弊所で再申請をご協力いたしました。事情により市役所から課税証明書が発行されなかった点、及び前回申請時の記載内容が主な不許可理由と考えられます。

その2
フィリピン国籍者:タレント事例

当事例の申請人は、タレント(エンターテイナー)として来日されていました。なるべく早く再来日してもらいたいという依頼者様の意向を踏まえ、申請人が国内での勤務を終えた直後から準備に取り掛かりました。帰国後から申請までの間隔を十分に設けられなかった点が主な不許可理由と考えられます(帰国後約1ヵ月での申請)。

その3
ベトナム国籍者:オーバーステイ事例

当事例の申請人は、過去に長期間のオーバーステイ歴がございました(強制送還に伴う入国拒否期間(5年間)は経過済)。なお、可能な限り審査が有利に働くよう、弊所から身元保証人の追加をご提案し、嘆願書等の書面を整え申請に臨んでおります。オーバーステイのほか、国内での不法就労歴も審査に影響したものと考えられます。

その4
ベトナム国籍者:技能実習生事例

当事例の申請人は、技能実習生として国内の企業に在籍しておりました。依頼者様は職場の同僚として申請人と知り合い、結婚を見据えた同棲生活を体験したいという要望のもと、業務の受任に至りました。実習期間の満了から申請までの期間が短かった点、初回の申請で最長の滞在日数を強くご希望されていた点が理由になったと考えられます。

その5
中国国籍者:虚偽申請事例

当事例は、過去に申請人側での虚偽申請が発覚し、不許可になっています。ただ、申請人に直接的な原因はなく、また依頼者様の強い要望もあり、弊所で再申請をご協力いたしました。嘆願書等の書面を別途添付し対応いたしましたが、不許可の結果となっております。

その6
パキスタン国籍者:SNS事例

当事例の申請人と依頼者様は、SNSを通じて知り合われました。連絡を取り始めた頃から、結婚を意識した交際を続けておられましたが、年齢差があった点、知り合ってからの期間が短い点、対面歴が一度もなかった点が主な不許可原因になったと考えられます。

弊所担当者による総括

弊所担当者による総括

例年通り、短期滞在ビザに関しては自由裁量の側面が強く、審査の統一性がない印象を受けました。実際、上記に列挙したご依頼よりも条件が芳しくなく、許可の見込みが非常に低いと判断した一部の案件がスムーズに許可されています(下表参照)。また、限りなく同じ条件でビザが発給された事例があるにもかかわらず、残念ながら発給に至らなかった案件も少数ながら散見されます。

  • オーバーステイ及び不法就労:ベトナム嘆願書等を添付し許可
  • 不倫関係及び住所不定:フィリピン婚姻破綻中である旨の説明書等を添付し許可
  • 他事務所へ依頼し不許可:インド資料不足及び説明不足をリカバーし許可
  • 直近でのオーバーステイ:中国反省文等を添付し許可

※これらの事例はあくまでも一部です

この件について、弊所は審査の管轄そのものが主な原因になっていると結論付けています。短期滞在ビザは、他のビザと異なり、各国にある大使館・領事館が審査を担います(その他はすべて日本国内の出入国在留管理局が審査)。そのため、申請人(外国人側)の国籍によっても許可率のばらつきがあり、また同じ国籍者の間でも、国際情勢等あらゆる事情を勘案し、微妙に異なる審査基準が適用されているものと解されます。

ビザの性質上、画一的な基準を設けることは相応の困難が予想されるため、今後も前述のような運用がなされると思われます。引き続き、ご相談時においては短期滞在ビザの特殊性を踏まえた上で、保有している許可データ等を参照しながら、正確なご案内に努めていきます。

その他の在留資格・ビザ

その他の在留資格・ビザ

配偶者ビザや定住者ビザ等の身分系在留資格に関しては、不許可の案件はございませんでした(12月末時点で審査が継続している案件を除く)。そのほか、就労ビザ(技術・人文知識・国際業務)に関しても、すべての申請が無事に許可をいただけております。

おわりに

旧年中は多くのご相談・ご依頼をいただき、誠にありがとうございました。本年も、変わらず丁寧な対応を心掛け、日々の業務に取り組んでいく所存でございます。まだまだ至らない点は多々ありますが、本年も引き続きご支援・ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。