2025年度の受任実績に関するご報告

2026年1月13日

2025年中に受任した案件の統計及び実績等について、下記の通りご報告いたします。

受任実績レポート:2025年度

受任実績レポート:2025年度

2025年度の受任割合は、日本人の配偶者(国際結婚に伴う配偶者ビザ申請)が全受任件数のうちの27%、短期滞在(交際相手や婚約者, 親族, 友人を招へいするためのビザ申請)が33%、永住者(永住権の取得申請)が5%、定住者(連れ子や離婚した外国人のためのビザ申請)が12%、その他の在留資格(就労系のビザ申請等)が13%、在留資格以外の業務が10%となりました。

許可率の統計:2025年度

許可率の統計:2025年度

2025年度の受任件数に対する許可率は98.3%で、不許可率は1.7%でした(12月末時点で審査が継続中の案件を除く)。許可率や不許可事例に関して非公開とする事務所が多いところ、弊所では安心してご相談・ご依頼できる環境づくりのため、またフラットな目線で数ある事務所の中から比較検討いただきたいという観点から、可能な限りの情報開示に努めています。

主な不許可事例:短期滞在ビザ

その1
パキスタン国籍者|事例類型:虚偽申請の是正

当事例の申請人と依頼者様は婚約関係にありましたが、申請人が当時既婚者であった事情から、依頼者様が申請書類を自ら準備・作成の上、提出された初回申請、並びに弁護士を介した再申請のいずれにおいても、関係性を「友人」とする虚偽の申告に基づき申請が行われ、結果として連続して不許可となっております。その後、申請人の離婚手続きが完了した段階で、不許可のリカバー案件として弊所が正式に受任し、関係性の訂正文書、招へい経緯書を含む疎明資料一式を全面的に見直した上で再申請に臨みました。しかしながら、先行する虚偽申請により生じた在外公館の疑義を払拭することは容易ではなく、残念ながら本申請も不許可となりました。

なお、受任当初より不許可リスクを十分に説明していたため、不許可後は速やかに配偶者ビザ(在留資格:日本人の配偶者等)の申請へ移行し、同申請については無事に許可が下りたことから、現在は夫婦として日本での生活を継続していることを付記いたします。

その2
ベトナム国籍者|事例類型:疎明資料の不足

当事例は、依頼者様に病気の発覚という事情が生じたことを契機として、外国人配偶者の実妹である申請人を、看病及び身のまわりの世話を目的に短期滞在ビザで招へいしたい旨のご相談を受けたものです。外国人配偶者ご本人は海外で就労している関係上、日本へ帰国できるのは数か月に一度程度に限られ、依頼者様が実質的に単身で療養生活を送っている状況にありました。申請人の早期来日を希望される事情も踏まえ、弊所にて受任の上、申請に臨んでおります。

もっとも、弊所としては看病の必要性を客観的に裏付ける資料として診断書等の提出をお願いしましたが、依頼者様のご意向により提出は見送られ、やむを得ず事情説明書等を中心とする資料により申請を構成いたしました。その結果、医療上の必要性を直接示す客観的資料が限定的であった点が影響し、申請人の渡航目的の相当性・必要性について慎重な判断がなされたものとみられ、最終的に不発給に至っております。なお、不許可後は外国人配偶者が日本へ戻り、依頼者様の看病等に当たる運びとなったことを付記いたします。

その3
フィリピン国籍者|事例類型:収入及び預貯金

当事例の申請人と依頼者様は、フィリピン現地の飲食店(KTV)にて面識を得られました。交際開始後、依頼者様は現地へ渡航の上、申請人との再会を果たすとともに、申請人親族への挨拶も済ませられ、その後、弊所にて受任する運びとなっております。もっとも、申請人に来日歴がない段階での初回申請において、最長の90日有効の査証を強く希望された点、当該滞在日数に見合う資力として依頼者様の年収(課税所得)及び預貯金が相対的に低額であった点、並びに交際開始から申請までの期間が短期であった点が、主たる不許可理由として影響したものと考えられます。


その他の短期滞在ビザに関する不許可事例につきましては、前年前々年度と同趣旨の判断要素を伴う案件が多く、記載の重複を避ける観点から、本年度は詳細な事例報告を割愛しております。

主な不許可事例:配偶者ビザ

不許可の案件はございません(昨年度から継続中の案件を除く)。

主な不許可事例:定住者ビザ

不許可の案件はございません。

主な不許可事例:就労系ビザ

不許可の案件はございません(昨年度から継続中の案件を除く)。


上記以外の申請(就労資格証明書交付申請等)に関しても、特筆すべき不許可の案件はございません(12月末時点で審査が継続中の案件を除く)。また、上記で紹介した不許可事例はいずれも、初回相談の段階で、事前に不許可・不発給のリスクや懸念事項等について誠実かつ真摯に依頼者様へお伝えしており、当該リスク等を承知いただいた上での受任に至っている旨、申し添えます。

行政書士による総括:2025年度

弊所行政書士による総括

例年と同様の指摘となり恐縮ですが、短期滞在ビザ申請の審査は個別事情に対する裁量の影響が大きく、判断の画一性を欠きやすい傾向が認められます。実務上も、前掲の不許可事例と比較して条件面でより不利であり、許可の蓋然性が高いとは言い難いと判断された案件の一部が、結果として支障なく許可に至っております(下表参照)。他方で、例年同様、過去にほぼ同一条件で査証が発給された実績が相当数確認できるにもかかわらず、今回は発給に至らなかった事例も少数ながら見受けられました。

  • オーバーステイ歴有:インドネシア嘆願書や反省文等を添付し許可
  • 離婚手続き未了での申請:タイ(英国在住)裁判書類や状況説明書等を添付し許可
  • 本人に虚偽申請歴有:モンゴル反省文等を添付しリカバーの上許可
  • 他事務所へ依頼し不許可:フィリピン申請基盤を整え直し再申請で許可

※公開可能な案件を一部抜粋

本件につき弊所は、審査を担う機関の相違こそが、主要因であるとの立場をとっております。すなわち、他の在留資格に係る手続きが原則として国内の出入国在留管理当局により審査されるのに対し、短期滞在ビザは、各国に所在する在外公館(日本国大使館・総領事館)が審査を担当する点に特徴があります。この体制上の差異に起因し、短期滞在ビザ申請では、申請者の国籍や居住地(管轄)によって許可率に一定の偏差が生じ得るほか、同一国籍・同一管轄内であっても、申請時期における国際情勢その他の諸事情が総合的に斟酌され、結果として運用上の判断枠組みに微細な差が生じているものと推測されます。

また、短期滞在ビザ申請の性質上、世界各地に一律に適用し得る画一的基準を確立することには構造的な限界があるといえます。2025年以降、フィリピン、ミャンマー、ナイジェリア等において代理申請機関(ビザ申請センター)が順次開設され、在外公館が申請の利便性向上を推進しているところではあるものの、審査権限自体は引き続き在外公館に帰属するため、昨今の地政学リスクの高まり等の外的要因もあいまって、今後も同種の審査運用が継続されると解するのが相当です。弊所においては、かかる背景を踏まえ、これまでに蓄積した許可傾向に関するデータを参照しつつ、短期滞在ビザの特性に即した実務的かつ適切なご案内を、今後とも継続して提供してまいります。


配偶者ビザをはじめとする身分系在留資格に関しては、受任したすべての案件において、おおむね予見通りの結果を得ることができました。もっとも、本年度の運用として特筆すべきは、配偶者ビザの更新申請(在留期間更新許可申請)における審査が、過年度と比較して相対的に緩やかになった印象を受けた点であります。具体的には、就業状況や病気治療等を理由として別居状態に至った事案を複数件受任したものの、いずれも追加資料の提出を求められることなく、比較的短期間で許可に至りました。もちろん、別居が不可抗力的かつやむを得ない事情に基づくものであり、夫婦間の断絶や同居意思の欠缺によるものではないこと、並びに、メッセージアプリやビデオ通話等を通じて継続的に意思疎通を図り、夫婦としての実体的関係を維持していることについては、申請書類上において、要点を外さず丁寧に疎明したところであります。これらの傾向は、「夫婦である以上、同居を当然の前提とすべき」とする過去の一律的な慣習に拘泥せず、現代の多様な婚姻形態・生活実態に、審査の観点が漸次馴染みつつあることを示唆するものと考えられます。

また、個別の成果として、認定申請(在留資格認定証明書交付申請)において、初回から3年の在留期間が付与された件数が前年より増加した点に加え、インターンシップビザ(在留資格:特定活動)の名の下に事実上の不法就労を強いられていた申請人につき、配偶者ビザの許可・交付を得るに至った事例、新設されて間もないデジタルノマドビザから配偶者ビザへの変更許可を得た事例、さらには、申請人にオーバーステイ歴があり、かつ年齢差が22歳に及ぶ夫婦間において配偶者ビザの取得が認められた事例は、いずれも事情関係の整理と疎明の組立てに高度の慎重さを要するものであり、恐縮ながらも一定の評価に値すると考えております。これらはいずれも、外形的な事情のみによって結論が左右されるのではなく、個別具体の経緯と現在の実体を、客観資料と整合的に提示し得るか否かが、審査の帰趨を実質的に分けることを改めて確認させるものでもありました。


弊所では、許可可能性が相対的に低いと見受けられる案件につきましては、拙速な申請を避ける観点から、申請時期の再検討(延期)をご提案するとともに、当該期間における懸案事項の是正・補強に向けた具体的助言を行うことが少なくありません。言い換えれば、見通しと依頼者利益を総合考慮した結果、受任を控えさせていただく事案も一定数ございます。このような運用方針のもと、弊所の許可率は昨年度においても高い水準を維持いたしました。今後も、誠実さと率直さを基軸とし、公正な判断と確固たる職業倫理をもって、適切に執務を遂行する所存です。

なお、弊所では過去3年にわたり、取り扱い実績に関するレポートを定期的に取りまとめてまいりましたが、今後は実績情報そのものを、より即時性の高いかたちで広くご覧いただけるよう、全体公開を前提とした閲覧システムの導入を検討しております。かかる方針転換に伴い、現行の形式による公表は本年分をもって一区切りとし、以後、同様の体裁での発行は終了させていただきます。

おわりに

旧年中は多くのご相談・ご依頼をいただき、誠にありがとうございました。本年も、変わらず丁寧な対応を心掛け、日々の業務に取り組んでゆく所存でございます。まだまだ至らない点は多々ありますが、本年も引き続きご支援・ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。

行政書士 駒田 有司
行政書士 西川 諒